賃貸経営を取り巻く環境は年々高度化・複雑化しています。空室対策ひとつとっても、競合物件の状況や最新入居者トレンドの把握なくして適切な一手は打てません。一方で、近年は膨大なデータを利用して賃貸経営者をサポートする便利ツールも続々と登場。インターネットですぐに使える代表的サービスをご紹介しましょう。

購入売却判断時にオススメ

◯全国地価マップ
https://www.chikamap.jp/
◯賃貸経営マップ
https://www.rakumachi.jp/property/land_price/map

資産評価システム研究センターが運営する「全国地価マップ」は、会員登録等も必要なく、誰でも簡単に固定資産税路線価、公示地価、相続税路線価、都道府県地価調査価格の4種類を調べられるツールです。購入・売却の際の土地の積算や、相続対策時のシミュレーション等にこれらの地価は欠かせません。また、過去数年間の価格を確認できるため、指定エリアの地価の推移を確認・予測することにも役立ちます。

なお、収益物件の購入・売却にあたっては、「楽待」運営の株式会社ファーストロジックが提供する「賃貸経営マップ」も便利です。路線価や公示地価を調べられるうえ、物件の積算も自動計算。併せて、地域の空室率や人口・世帯数も確認できます。無料の会員登録で利用できますが、月に3回以上利用する場合は有料会員になる必要があります。

市場の分析把握にオススメ

◯見える賃貸経営
https://toushi.homes.co.jp/owner/

賃貸経営サポートツールの定番といえば、株式会社LIFULLの運営する「見える賃貸経営」です。不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」に登録された膨大なデータが、地図やグラフで「見える化」されているのが大きな特徴です。

中でも注目は、各エリアの「賃貸需要」のページ。エリアマップではLIFULL HOME’S内での実際の検索頻度(≒賃貸需要の強さ)を視覚的に把握できるほか、サイト利用者の希望する間取りや家賃と、実際の掲載データとのギャップの大きさ(≒需要と供給のギャップ)が一目で確認できるなど、周辺市場の”いま”をさまざまな角度から分析できます。見える賃貸経営は会員登録等も必要なく、利用ハードルが低いのも魅力です。

差別化戦略にオススメ

◯賃料・設備相場チェッカー
https://www.suumo-onr.jp/checker

不動産ポータルサイト「SUUMO」のデータをもとに株式会社リクルートが提供するのが「賃料・設備相場チェッカー」です。その名の通り、指定エリア内の賃料と設備に重点を置いたデータを分析できます。

間取りや築年数、駅徒歩分数など、一定条件のSUUMO掲載物件を抽出して「賃料相場」を確認できるだけでなく、「設備相場」では、それら同条件物件にどのような設備がどれだけの割合でついているのかを確認可能。所有物件の条件で抽出すれば、ライバル物件の賃料はもちろん、「エアコンは9割が設置済み」「インターネット無料は4割しか導入していない」などが分かるため、募集を有利に進めるための戦略立てに役立ちます。利用にはリクルートの無料会員登録が必要です。

リスク把握にオススメ

◯重ねるハザードマップ
https://disaportal.gsi.go.jp/maps/

エリアの災害リスクの把握に役立つのが、国土交通省と国土地理院が提供する「重ねるハザードマップ」です。ハザードマップは本来、各自治体の発行物を確認する必要がありますが、同ツールは全国の情報を束ねて一元表示。洪水・土砂災害・高潮・津波等のリスクを地図上で確認できます。

建物の被災は賃貸経営の致命傷ともなりかねないだけに、購入・新築の検討段階で必ず確認を。マップは会員登録不要で誰でも利用できます。

ここでは主に一般公開されているツールを紹介しましたが、他にも不動産業者や専門家にしか利用できない便利ツールも。そうなると賃貸経営者にとって、まずは一番身近で、それら専門ツールも利用できる「管理会社」を使いこなすことが経営成功の近道かもしれませんね。