敷地内でなんとなく持て余している空間、ブロック塀や樹木の撤去によって出現してしまったデッドスペース…。このような「ちょっとした空間」をうまく活用して収入を増やしたいというのは多くの賃貸経営者の思うところです。有効活用のアイデアを考えてみましょう。
1㎡からできる無人販売
ちょっとした空間で収益を上げようと考えた場合、まず思いつくのが「自動販売機」です。一般的な飲料自販機であれば1㎡未満でも設置できるうえ、最近では鍋やラーメン、スイーツといった冷凍食品を扱う機種も登場するなど、多様化して人気です。また、履歴書等に欠かせない“証明写真”を撮影する「自動証明写真機」も、実は1~2㎡で設置が可能。そのほか、子どもから大人まで人気のカプセルトイ「ガチャポン」という選択肢も考えられます。
ただし、こうした無人販売は稼働させるための電気代、商品の入れ替えや清掃をするメンテナンス代、機器のレンタル代等を土地所有者が負担する契約が一般的であり、十分な人通りや売上が期待できない立地では赤字経営や、そもそも機器を設置できないケースも見られます。都市部や駅近、学校や公園が目の前にあるなど、立地とニーズの見極めが重要です。
- 自動販売機
- 証明写真機
- 野菜等の直売所
- 広告看板
- 宅配ボックス新設 ほか
3㎡からできる軒先貸し
3㎡(約1坪)になると、活用の選択肢が増えてきます。人が常駐するには厳しいものの、短時間の滞在や出入りには問題のない広さでしょう。自転車であれば数台置けるため、収益化するのであればコイン駐輪場、レンタサイクル等のポートとして業者に貸し出す、という方法も。屋台程度のサイズであれば軒先出店も可能です。
こちらもやはり、重要となるのは立地の良さや通行量の多さ。しかし、レンタル収納シェアサービスなど、立地を問わない活用方法もこの広さなら検討できます。また、外部に顧客を求めず、入居者向けに貸し収納や家庭菜園スペースをつくったり、駐輪場を新設したりするのも選択肢の一つです。
- 駐輪場新設
- コイン駐輪場の運営
- レンタサイクルや電動キックボードレンタルの事業者に土地貸し
- レンタル農地
- 貸し倉庫(入居者用物置/シェア物置)
- 軒先出店(小規模) ほか
15㎡あれば車の出入りも可能
15㎡(約4坪)ともなれば、普通自動車が問題なく駐車できる広さです。駐車場区画やバイク駐輪場を新設して利用を募るほか、大型公園や野球場・競技場、レジャー施設等が近いのであれば、駐車区画を1区画から時間貸しできる「シェアパーキング」で運用する手も。また、車を用意して個人間カーシェアに挑戦したり、カーシェア業者に土地貸しするという方法もあります。
軒先出店であればキッチンカーの誘致も検討可能です。ただし、キッチンカー出店には「食品営業自動車」の営業許可と食品衛生責任者の資格が必要となるため、場所貸しをする際は必ず許可証等を確認しましょう。
・駐車場や駐輪場の新設
・シェアパーキング運用
・カーシェア(独自運用/業者へ土地貸し)
・軒先出店(キッチンカー) ほか
収益化の秘訣は“顧客ありき”の販売戦略
狭小スペースの活用にあたり、重要となるのはマーケットインの思考です。ここまで面積ごとにアイデアをまとめましたが、「これしか面積がないからこれをやる」と、“スペースの広さ”を起点にサービスを考えると、どうしても「やってみたけど誰も使わなかった」という結果に陥りがちです。
「入居者が求めるものは?」「地域の人が求めるものは?」「遠方からの訪問者が求めるものは?」まず調べるべきは市場のニーズの種類と大きさです。土地そのものではなくマーケットに視点を定め、「人々に強く求められているものを最小限のスペースで提供する」ことこそ、空きスペースを効率よく活用する秘訣と心得ましょう。