連日「オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」の注意喚起がなされていますが、投資家をターゲットにした怪しげな話も世間にはたくさん転がっています。お金を増やせる、今しかチャンスがない…そんな都合の良い言葉に騙されないよう、賃貸経営者が気をつけたい詐欺の種類と注意点を押さえましょう。

投資計画を狂わせる「入居状況詐欺」

賃貸経営者が最も気を付けるべき詐欺の一つが「入居状況詐欺」です。誰しも買うなら“満室”の物件を購入したいものですが、詐欺師はその心理に付け込み、入居状況を偽ります。魅力的な利回りの満室物件を買ったはずが、購入直後から退去が立て続けに発生したり、入居者が実は存在しなかったり…。つまり、空室だらけの物件を高値で買わされてしまうのです。

入居状況詐欺は見抜くのが難しく、現地に足を運んでも、詐欺師の仲間が住んでいる部屋や、入居中に見せかけた空室を看破するのは至難の業。対策としては、賃貸借契約の状況をまとめたレントロールに不審な点がないか、特定の時期に不自然な契約がないか等を確認しましょう。ただし、この情報自体が偽装される場合もあり、最後は「話がうますぎないか?」と自身に問う姿勢が重要です。

架空の取引で丸損!「手付金詐欺」「地面師詐欺」

計画が狂うどころか、資金をまるまる奪われてしまうのが、不動産そのものや所有者の存在を偽るタイプの詐欺です。例えば「手付金詐欺」は、魅力的な不動産、もしくは不動産取引のニーズが“ある”ように見せかけて購入を促し、手付金を持ち逃げするというもの。「他に買われてしまう前に手付金を払って押さえた方がいい」などと説明して焦りを誘います。

手付金詐欺は不動産業者を騙るケースがほとんどのため、まずは名乗った法人が実在するか、実在するなら本人が在籍しているかを確認しましょう。実在社員へのなりすましに備え、会社を訪問してみるのも有効です。

また、不動産所有者になりすまして取引を持ち掛け、手付金どころか物件価格の全額をせしめようとするのが「地面師詐欺」です。過去には大手企業が被害に遭う事件も複数ありましたが、地面師詐欺は大規模な取引だけを対象とするとは限らず油断できません。

詐欺師に対抗するには売主への本人確認の徹底が重要ですが、相手は身分証や印鑑証明書も偽造するプロ。加えて、更地や駐車場など、近隣住民でも所有者を把握していないような不動産を詐欺師が選べば、本人確認はより困難となります。こちらも「うまみの妥当性」を冷静に判断できるかが被害回避のカギ、裏があるのではと疑う視点が命綱です。


投資詐欺増加の背景にデート商法・SNS

以上のような不動産詐欺に加え、昨今はさまざまな投資詐欺・悪徳商法が増加しています。中でも顕著なのが、恋愛感情を利用して高額商品を売りつける「デート商法」。SNSやマッチングアプリの全世代的な普及に伴い、以前よりも「面識のない異性と出会う」ことのハードルが下がっています。古くから恋愛感情は人に隙を生みやすく、数多の詐欺に使われてきました。詐欺師にとって男女の出会いの場は、不動産や投資話を売りつけるにうってつけの狩場なのです。

詐欺の被害に遭わないためには、まずは判断に時間をかけること。特に、不安や射幸心を煽られるような話を聞いた時は、その場で判断せず時間を置くべきです。また、そもそも詐欺師が近寄ってこないよう、自身の情報を拡散しないことも大切。個人情報等に限らず、“儲け話を探している”という情報が拡がるだけでも被害リスクは高まります。詐欺師はありとあらゆる方法で私たちの情報を狙っていると肝に銘じましょう。

 

「近くで工事をしている者ですが、お宅のアパートの屋根が壊れているのが見えまして…」その場で屋根を見せると屋根を壊され、法外な値段の修理提案をされるという、昔からある詐欺。本当に壊れているかの確認は馴染みの業者・管理会社にお任せください!