前回は、キャッシュフローツリーにより現状分析をする際の見極めポイントを説明しました。募集賃料が適正か、空室が決まらない要因は何か、安易に賃料交渉にのっていないか、運営経費の無駄はないか、ファイナンスの見直しが必要ではないか。一つひとつ現状分析をした結果、問題点をつかめたら、次は改善策を検討します。その物件に合った、最適な改善方法があることにも注意が必要です。
キャッシュフローが潤沢な場合は、リノベーションや設備改善などコストをかける空室対策が可能となります。コストがかかる分、即効性が高いのも特徴です。そういった物件でも、コストがかけられない物件でも共通して留意しなければならないのが以下のポイントです。
入居者募集に影響を与えるメンテナンス
部屋探しの内見時に、「物件の管理状況を見て成約の判断をする」という入居希望者は全体の6割程度といわれます。それだけ物件のメンテナンス(維持管理)が入居状況(稼働率)を大きく左右する要因となっています。入居希望者は内見時に、まずは物件のエントランス付近に到着します。その時に目につく全てが成約の判断を左右することになるのです。ここで問題があれば、いくら室内が魅力的な部屋でも成約には至らないことになるはずです。やはり物件も「外見が生命線」。適切なメンテナンスで清潔性を保つことが大切です。稼働状況の良い物件は例外なく良いメンテナンスが行われています。
パートナーとの関係性の強化
オーナー自身でこれら現状分析や改善の検討、適切なメンテナンスなど全てを行うことは難しいものです。仕事をしながら片手間に専門性が高いことをやろうとすれば、どっちつかずになってしまいます。そこで重要になることは、「パートナー(管理会社)選び」です。良い管理とそうでない場合は、オーナーのキャッシュフローが大きくかわることもあります。しかしここで重要なのは、パートナーのコンサルティング能力はもちろんのこと、パートナーとの関係性であることを認識したいものです。オーナーとともに物件に向き合い、良い点や改善すべき点をはっきり伝えてくれ、現状分析と改善提案をしてくれるパートナーの、時に耳が痛い意見にも向き合う姿勢も必要です。
コストをかけずとも問題点を発見して、改善する方法はたくさんあります。出来得ることはやりつくし、繁忙期を味方につけてより良い賃貸経営をおこなっていきましょう。
