令和6年もあっという間に終わりを迎えます。思えば、元日の能登半島大地震から始まり、それに追い打ちをかける9月の大雨災害。8月には、大型の台風が日本列島をウロウロと縦断し、宮崎市内では近距離で8本もの竜巻が被害を生じさせ、いずれも住宅に甚大な被害を与えることになりました。

令和6年10月から住宅用の火災保険料率の改定が行われ、損害保険大手4社は全国平均で10パーセント程度の保険料値上げをすることが発表されました。値上げの根拠としては、令和5年6月に損害保険料算出機構から発表された保険料の「参考純率」が上がったことにあります。相次ぐ自然災害で、損害保険会社の支払額(コスト)が急増していることが背景にあげられます。この傾向は、過去10年の温暖化を振り返れば今後さらに拡大していく可能性が高いと考えられます。


水災補償の保険料率が細分化される

風災や雪災については、以前より地域ごとに保険料率の差がありました。しかしこれまで水災に関しては、地域ごとのデータが不十分であったことから全国一律で、これにより水災リスクの低い地域でも保険料率が上がり続けていました。「リスクは少ないのに保険料が高い」という不公平感からか「水災補償をつけない」という選択をする人が増え、その結果、水災補償の加入者はリスクの高い地域ばかりとなり、保険会社の経営リスクがさらに高まっていました。

これらの問題から、市区町村別に水災料率が最も低い「1等地」から最も高い「5等地」までの5区分に細分化されることになりました。この水災等地決定の根拠には、「水害統計」や「地形データ」または「洪水ハザードマップ」などが活用されているそうです。

保険料率が最も高い「5等地」地域は、最も低い「1等地」地域に比べて、約1.2倍の保険料※となります。※損害保険料率算出機構が出した保険料率で計算した保険料です。実際に保険会社と契約する保険料とは異なる場合があります。


水災補償の再検討を

賢い保険のかけ方として、特約の選択や免責金額の設定などで物件のエリアやその特性、所有者のリスクに対する考え方によりカスタマイズすることが知られています。しかし、水災補償については、つけるか外すかしかありませんでした。今まで浸水したことがない地域だから、マンションで高さがあるから、などといった理由で水災補償は必要ないだろうと外した結果、想定外の豪雨や、豪雨の影響により生じた排水管の逆流被害が補償されない、などといったことも実際に起こっています。

水災の保険料率が細分化されたことで、リスクの低いエリアでも災害への備えがしやすくなるのであれば、適切なリスク管理として水災補償を検討することが必要と言えるでしょう。