賃貸経営において、物件のバリューアップにつながる改修もまたメンテナンスと同様に大切です。こちらも資金問題がネックとなりがちですが、ファミリー物件に補助金が出る、令和4年から始まった「子育て支援型共同住宅推進事業」をご存じでしょうか。

新築にもリフォームにも使える補助金

子育て支援型共同住宅推進事業は、国土交通省が新設した補助事業です。対象は子育て世帯をターゲットとした共同住宅で、子どもの安心や安全につながる住宅の新築・改修に対して、1戸あたり最大100万円の補助金が交付されます。

注目は、改修における補助の適用ハードルが新築よりも低く利用しやすい点。多くの要件を求められる新築時と違って、賃貸住宅の改修の場合40㎡以上/新耐震基準/子育て世帯募集といった要件を満たしていれば、あとは次の5点の実施で補助を受けられます。

改修における補助対象

  • 子どもの転落防止の手すり等の設置
  • チャイルドロックや立ち消え安全装置等がついた調理器の設置
  • 防犯性の高い玄関ドア等の設置
  • 防犯フィルム、防犯ガラス、面格子等の設置
  • 防犯カメラ設置(録画機能付きインターホン設置を含む)

同事業の趣旨に沿った、子育て時の事故防止や防犯対策に役立つ設備を設ける工事には補助が出ます。また一方で、次のような工事も補助対象です。

  • 対面形式のキッチンの設置
  • 子どもを見守れる間取り(LDK等)への変更工事

対面式キッチンの採用や、見通しが良く空間の広がりを感じられる間取りへの変更は、子育て世帯に限らず人気であり、物件のバリューアップに直結する工事といえます。ファミリー物件は広さがある分、大規模な追加投資をためらう方も多いものですが、最大100万円の補助金が出るなら利回りも変わるでしょう。補助金の利用後は原則10年間の保有が求められるものの、物件の魅力アップで将来の売却時も有利に立ち回れそうですね。